「あっ!」
という悲鳴が甲板に沸き上がりました。ハシゴを登っていた途中、あと少しというところで、ついに力尽きて、手をすべらせ海へ落ちてしまったのです。思いがけないできごとに、甲板の上は、みんなぼう然としました。
その時
「なんとかしなければ…。」
船から突き出た階段の上で見ていたクヌッセン機関長は、救命ベルトを締め直しました。