「ロープを投げろ!」
マースク号から何度も何度もロープが投げられました。ただ1人残った高砂丸の乗組員が、何とかそのロープをつかむことができました。
「やったー!。これでなんとかなる。」
マースク号の甲板からも歓声が上がりました。乗組員はそのロープをたよりに、凍りつくような冷たい嵐の海に入り、ようやくマースク号から下ろされていた綱ハシゴにたどり着くことができました。
「がんばれ!」「あと少しだ!」
甲板の上からも励ましの声が飛び交いました。乗組員は、冷えきって疲れきった体で必死になってはしごを登っていきました。
クヌッセン機関長は、一番近いところで彼を見守っていました。
「もう少しだ。がんばれっ!」
あとちょっとで登り切ると思ったその時、
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