今をさかのぼること約１００年、明治時代のお話しです。
　当時は、現在のように、各家庭にお風呂もなく、かといって、近所にお風呂屋さんもなく、各ご家庭で、お風呂を沸かすにも大変な時代でした。そこで、ご近所同士で、交代でお風呂を沸かす「もらい風呂」が、よく行われていました。
　「不思議なことに、この家の井戸水で沸かすお風呂は、いつまでもポカポカしていて大変よく温まる。」この様な、評判がご近所に広まっていきました。
　この評判を聞きつけたお役人が、その井戸水を調べたところ、なんと豊富な成分を含んだ温泉である事がわかりました。
　「この辺りには、温泉がありません、みんなの健康ために、温泉旅館を開業して下さい。」と頼まれ、明治２５年１１月温泉として認定を受け、旅館栖原温泉を開業することとなりました。以来「紀州のかくれ湯」として、永年にわたり、多くの皆様に愛され続け今に至っております。